いつか海風潮騒へ

とりとめのない平凡な日常を綴っていきます。

仔猫たちとの出逢い

先週のことです。外出先で車を降りて歩き出した時、道の向こう側からかすかに聞こえました。か細くで消え入りそうな、「ミャー…ミャー…」という鳴き声。

…まさか?

思わず立ち止まり、目線を泳がせながら声のする方へそろそろと近づいていきました。

 

ガードレールの向こう側の排水溝の中で、手のひらに乗るくらいの小さな小さな仔猫が3匹、重なりあって細い声で鳴いていました。

 

目を疑う、というのは、こういうことなのか、と思いました。信じられない。一応猫の飼い主なのに、動転しました。

 

折しも、肌寒い日。こんな冷たい排水溝のコンクリートの上に、こんな仔猫が…。この状況は、絶対にまずい。まずい。

どうして?捨てられた?

いや、理由はともかくとして、この状況、どうする?

あ、もしかしたら、母猫が近くにいるかもしれない…!

 

そう思って、少し離れたところで5分ほど待ってみました。でも、母猫の気配はない。

 

意を決して溝の中に入り、1匹を抱き上げてみると、…身体が冷たい!

自分の息が早くなるのがわかりました。

動かない鳴かない子もいる。寝てるだけか?

いや、だけど、このままだと弱って動けなくなって、生きながらカラスにつつかれて痛い怖い思いをして、苦しんで息絶えてしまうかもしれない。

ダメ。それはダメ。

 

時計を見ると、11時10分。木曜だから、うちの猫のかかりつけの病院は午前診療のみ。受付は12時まで。もう、猶予は、ない。

 

うちは、飼えない、飼えないけど、でも、このまま見捨てることはやっぱりできない。できない。

 

軽い、冷たい、小さな3つの命を、車にあったダンボールに入れて、そのまま病院まで車を走らせました。

 

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先生はすぐに診てくれました。

 

生後1ヶ月くらい。これだけ冷えていてやせていて脱水もあるという状況から考えると、ここ何日か母猫が面倒を見ていたとは思えない。母猫に何があったか、育児放棄したか、もしくは捨てられたか、理由はわからないが、しばらくほったらかしにされていたのだろう、とのことでした。先生があげた哺乳瓶のミルクも飲まず、点滴に切り替えました。

命の危険はなし、ノミやダニもなし、あとは、しっかり温めてあげたらミルクも飲むようになるでしょう、と言われて、心からほっとしました。

生きられそう!

よかった、ほんとによかった。

かわいいこの子たちの命が潰えなくて、本当によかった…。

 

そうはいっても、帰途のハンドルを握りながら、未だに現実として捉えきれていない感覚、これからどうしようか…と、途方にくれる感覚と改めて向き合いました。

 

とりあえず、やれることをやろう。

家では、うちの猫と会わなくてすむよう、洗面所に隔離。

ダンボールに、ペットシーツを敷いて、うちのうさぎ用のヒーターと病院が貸してくれた湯たんぽをタオルにくるんで入れて、仔猫たちのハウス完成👌。

 

仔猫たちは、少しずつ元気になっているように見えました。ミャーミャーピーピーと鳴いては眠り、起きてはもそもそと動いて互いの身体にくっつきあったり上に乗っかったりずりずりと滑ったり。人間の親指くらいの小さな、針のような細い爪をタオルに食い込ませては、モフモフモフしたり。そして、またお互い甘えあって温めあうかのように、くっついて眠り。

 

小さな身体を精一杯使って、全身で生きていて、かわいくて愛しくて、いつまでも見つめていたい、見守りたい。

いや、そうもいかないんだけど。

 

片手でそっと持ち上げる(抱き上げる、という感覚ではない)と、骨がないんじゃないか、と思うような細さと柔らかさ。手のひらにすっぽりと収まります。体重が150〜200gとのことだったので、ステーキ肉1枚と同じじゃん。

 

何度か哺乳瓶で動物用ミルクをあげてみましたが、なかなか飲みません。これ、チュパチュパしたらおいしいやつじゃん!とわかれば飲むのでしょうが、なかなかその域に到達しません。

 

仔猫たちにとって幸せなことに、その日の夕方、近くの猫好きの友達が来て、3匹全部引き取ってくれました。彼女は、猫のお世話にとても慣れていて、家族総出でお世話できる状況。こんな小さな仔猫を育てる機会に恵まれて幸せ!と、大喜びしてくれました。

 

よかった。よかった。お世話のコツを心得ている人に育ててもらえるなんて!うちにいるより、よっぽど幸せに成長するわ🍀安心してお任せしました。

 

でも、飼えないとわかっていたくせに、いざ別れる時は「離れたくない…」という感覚。寂しいこと寂しいこと😭。すっかり情が移ってしまって。ほんの7、8時間しか一緒にいなかったのに。

母猫がどんな形でこの子たちと別れたのかわからないけど、きっと母猫もとても辛くて後ろ髪を引かれる思いだったんだろうな、と、切なくなりました。

 

友達は、24時間態勢でお世話してくれているみたいです。たまには会いに行きたいな🥰。友達の大きな愛と、母猫と私の小さな愛を受けて、元気に大きくなるよう、願う毎日です。

 

そうそう。

この子たちを拾ったのは、クロネコヤマトの営業所の前。

引き取ったのは、留め置きにしておいた宅急便ではなく、クロネコたちだった、という、ね笑。

 

出逢えて、よかった🐈。

 

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